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2009.03.25 (Wed)

白鹿の話 (A white doe in Devenish Forest)

mabi354_8.jpg

その日も白鹿は人間の姿となって森の木の陰に隠れ、青年の姿を眺めていました──



こんにちは、葉佩伽耶です。

マビノギの素敵な点の一つに「本が読める」といった仕様がありますよね。

初心者用のガイドブックや、読むことによってスキルを得る事が出来るスキル
ブック、戦術指南などの実用図書、アイテムを収めるコレクションブックなど
様々な本がありますが、どれもちゃんと本が「読める」のがすごいですよね。

他のMMOでありがちなログウィンドゥにだーっと本の内容が表示されるんじゃ
なくて、1ページ1ページ自分の手でめくって読めるんだもの。
スキル覚えればいいや~と、本の中身を読まずに「熟読する」だけで済ませて
しまうにはもったいない内容のものもあります。
そんなたくさんの本の中から、個人的に印象に残った本1つが

mabi354_2.jpg

ダンバートンの本屋で売られている「白鹿の話」。

この本を読むきっかけになったのは、イメンマハのクラブにいる美姫ルアの
おねだり
でして。
ルアの3回目のおねだりが、この「白鹿の話」の本が欲しいってものでした。
んで、ダンバートンで本を買って届けるついでに私自身もこの本を読んだら……
とても素敵なお話でした。

その素敵なお話をここで紹介させていただきます。

──人間の青年に恋をした白鹿の悲しく一途な物語を


※本文は出来る限り本編を忠実に再現しましたが、ブログ記事のフォーマットに
合わせて若干手を加えている部分があります。

※中の人は画像の加工や編集が下手すぎるので、SSは本編を再現しきれて
ないものがほとんです……予めご了承くださいませ。




 


mabi354_3.jpg


1.デブニッシュの森の青年

 昔々、デブニッシュの森の奥深くに白い雌鹿が棲んでいました。
 この鹿にとって森の中を駆け回りながらエリンの澄んだ空気を吸い、また美しい
景色を眺めることが日々の暮らしの中で一番の楽しみでした。

 彼女の両親は彼女を見守りながらいつもこう言っていました。

「お前が自然を愛しているのだということはよくわかっているよ。
でも森の外を出歩いてはいけないよ。そこは私たちを捕らえようとする人間の
領域だからね。いくら自然が私たちを守ってくれるといっても、人間のそばに
近づいたらきっとひどい目に逢うからね」

mabi354_1.jpg


 デブニッシュの森が春の気配で包まれはじめたある日のこと、白鹿は
蝶の群れを追いかけているうちにうっかり森の外に出てしまいました。
 森を離れてはいけないと両親からいつも言われていたので、白鹿はその言葉を
思い出し、すぐにもと来た道を引き返そうとしました。

 しかしそのときです。森のすぐ横の空き地で一人の青年が切り株でできた
かかしを相手に剣の練習をしているのが目に入ったのです。

mabi354_6.jpg


 波打つようにうねる長い髪、逞しく意志の強そうな額、そして湖水の
きらめきのように深く澄んだ青い瞳……。
 白鹿はその青年に一目ぼれしてしまいました。


 その日から、白鹿は青年のそばまでこっそり近づいて行ってはその青年が
剣の練習をする姿を木の陰からそっと見守るようになり、それが彼女の密かな
楽しみとなりました。


 時が流れ、白鹿はその青年の素性が少しずつわかってきました。
 その青年が町の騎士志望者だということ。
 少し前に父と母を亡くして一人さびしく暮らしていること。町のベルテイン祭で
行われる武道大会で優勝すれば騎士として認められるということ。そして彼は
そのためにこうして人目につかない森の中で剣の練習を続けているのだと
いうことも……。

 鹿はその青年と話してみたいと思いました。
 もっと近くで彼の顔を見て、彼の声を聞いて、そして彼の輝く瞳で見つめ
られたいと思ったのです。
 時が経つにつれ、白鹿は森のいちばん端、人間のいる場所のぎりぎり手前で
過ごす時間が長くなってきました。


 そうしたある日、白鹿は前に両親から教えてもらった方法で、人間の娘の
姿となって青年のそばに近づいていきました。

「可愛い娘さん、道に迷われたのですか?」

 人間の声を発することはできませんでしたが、白鹿は青年が自分に声を
かけてきてくれた事がどれだけうれしかったことでしょう。青年は上品な
美しさを持つその娘にやはり好感を持ちました。
 人間の娘の姿となった白鹿も、頬を赤く染めたまま騎士の顔を見つめ、
ただ微笑むばかりでした。

 その日二人は日が暮れたころに別れました。

mabi354_4.jpg



2.青年の夢

 その次の日、青年に会うため昨日の姿に身を変えた白鹿の娘は、胸を
ときめかせながら青年の前に出ようとしました。
 しかし青年と立派な服を着た赤いマントの若者が何か話しているのを見て
木の陰に隠れました。

「こうやって練習して今度の剣術試合で騎士と認められれば、彼女の愛も
勝ち取れるとでも思っているのかい?」
「……。」
「馬鹿らしい。君が騎士になったって何も変わらないよ」

 やがて青年はため息をつきながらこう言いました。

「あなたが今月末に領主の娘に結婚を申し込むという話は聞きました」
「私がはっきりさせておきたいのは、君のこんな行動が君自身のためなら
いざ知らず、彼女のためだなんて錯覚したまま試合に勝ってもらっちゃ
困るっていうことさ」
「あなたは貴族で私はただの貧しい騎士志望者にすぎません。彼女のことで
あなたと争いたいわけではありません」
「私の言っていることがちゃんと分かってもらえたのなら嬉しいんだがね」

 若い貴族は馬に乗り来た道を戻って行きました。しばらくその後姿を
見ていた青年はへなへなと崩れるようにしてその場に座り込みました。
彼が深くため息をつくのをみて白鹿はつらさのあまり喉が締め付けられる
思いがしました。


 そうだったのね。あの人には好きな女性がいたのね。だからこんな森の中で
あんなに練習してきたのね……。
 彼女はひどくがっかりして気を落としました。
 あの人の心のなかに私が入り込む余地などないってことなの……。

mabi354_9.jpg


 思わず流れ出た涙で目を潤ませながら、白鹿の娘はくるりと身を翻しました。
そのとき木の枝が揺れ、その音を聞きつけた青年が彼女を呼び戻そうと
懸命に叫びましたが、彼女は逃げるように森の中へと駆けて行きました。

 彼女はひどく落ち込みました。
 けれども彼女は青年をひそかに見守ることだけはやめませんでした。いつしか
自分の心の中で大きな存在になっていたあの青年。
 彼女は悲しい目で青年を見つめては、騎士になりたいという彼の望みが
叶うようにと毎日祈りました。



3.青年の命を救う

mabi354_8.jpg

 その日も白鹿は人間の姿となって森の木の陰に隠れ、刀を振り回す青年の
姿を眺めていました。
 今日の青年はなぜかいつもよりもずっとつらそうに見えました。今ではもう
青年の一つ一つのしぐさから彼の気持ちまで読み取れるようになった白鹿の
娘。青年は明らかに苦しんでいるのに、自分は前に出て彼を慰めてあげることも
できない。それは彼女にとって本当に悲しいことでした。彼女がため息を
つきながら自分の来た道をたどって森の中へ戻っていこうとしたとき、短い
悲鳴が聞こえました。
 後ろを振り向いた彼女の目に映ったのは、一匹の毒蛇が青年の足に噛み
付いているところ。

 毒蛇は青年が驚いて腕を振り回したため、その腕に当たりどこかへ逃げて
いったものの、青年はすぐに倒れてしまいました。
 白鹿の娘は人間の姿になると彼のもとに急いで駆けより、彼の足を縛って
傷口を切開したあと毒を吸い出しました。
 倒れ込んだ彼の目には白鹿の娘の姿が映っていました。しかし彼はすぐに
意識を失ってしまいました。

 どれくらいの時間が経ったでしょう。
 彼が意識を取り戻したときにはその横で白鹿の娘が薬草を手にしたまま
うつぶせになって眠っていました。
「この娘が僕を助けてくれたのだな」
 まだ蛇の毒がわずかに残っているのか、青年は再び深い眠りの底に落ちて
しまいました。

 それからというもの、白鹿の娘はこそこそ身を隠したりはしなくなりました。
 彼が剣の練習をするのを彼のすぐそばで一日中見守ってはまた森に戻る。
それが彼女の一日の日課となりました。



4.祭りの後

 ある日、森から出て行こうとする白鹿を彼女の両親が呼び止めてこう
いいました。

「お前ももう婚約をする歳になったね。お前と婚約したいという男たちが
いるのだが、あってみてはどうかな」

 しかし彼女の心の中にいるのはもはやあの青年だけ。
 彼女は首を振って、もう少し考える時間がほしいといいました。自分には
まだ結婚は早すぎるのではないかという言葉も付け加えて。

 春の終わりに行われる町の祭りの日が近づくにつれ、白鹿の娘はだんだん
気持ちが落ち着かなくなってきました。
「もし試合で優勝したら、あの青年は騎士になって領主の娘に告白するんだわ」
「私なんて忘れてしまうのね」
「でも彼の望みが叶うように祈らずにはいられない……」
「私はどうしたらいいのかしら」
「私もあの人みたいに人間になりたい」

 あっという間にイメンマハのベルテイン祭の日がやってきました。
 娘は町までいってあの青年を応援したく居ても立ってもいられません
でしたが、結局そうすることはできませんでした。
 その日は雨がずっと降り続いたため、白鹿の娘は丘の上にのぼって町の
花火を眺めながら青年のためにただひたすら祈りました。

 雨は祭りが終わるまで降り止まず、その後もずっと振り続けました。次の日も、
そのまた次の日も……。

mabi354_5.jpg


 祭りが終わって数日ものあいだ、その青年は森に姿を見せませんでした。
その青年がいつも剣の練習をしていた空き地で、白鹿の娘はむなしく雨に
打たれながら彼を待っていました。

 青年がふたたび姿を現したのは雨がやんでしばらく経ってからのことでした。
青年の服はところどころ破れており、生き生きとした顔は疲れて憂鬱そうな
表情に変わっていました。

mabi354_91.jpg

「僕、大会で負けてしまった」
 白鹿の娘を見て青年が口を開きました。
「馬鹿みたいだろ?」
 白鹿の娘は首を振りながらも青年の苦しみを思うと胸が痛くなりました。
その一方で彼と別れないでいいという安堵感も広がって、彼女は彼の胸に
飛び込みました。
 白鹿の娘は彼の胸に抱かれ、二人は長い間涙を流しながら互いが互いの
気持ちを受け止めました。



5.平行線

 それからまた数日後、青年は森の空き地で待っていた白鹿の娘を幸せそうな
表情で急に抱きしめました。

「僕、猟師になることにしたよ」
 白鹿の娘はたいそう驚きました。
「君と出会ったときから感じていたんだ。僕はこの森が好きなんだってこと。
この森と共に生きていきたい」
 白鹿の娘は心臓が止まるかと思うぐらい驚きました。この人が猟師に
なるなんて!
 首を振りながら残念そうな顔をした彼女を見て、彼は言葉を続けました。
「いや、いいんだ。騎士になる夢はもう棄てたんだ。もうこの森の猟師になる
だけで充分幸せなんだ。そのうで君と会うこともできるし……」
 彼女は信じられないといった表情をして後ずさり、その場を離れました。

 彼は猟師として一生懸命働きました。不慣れな仕事でしたが、時が経つに
つれ猟師としての腕も上がってきました。
 獲物をとらえて手を血で染めながら皮を剥ぎ、肉を捌き、罠を仕掛けることが
彼の日課になりました。

 今ではもう巷でも有名な猟師となった青年は、こうしてお金を稼ぎ、町の
若い娘たちが欲しがりそうなものを工面しては白鹿の娘に贈りました。
 しかし、娘に贈り物をしようとすると娘はいつもきまって涙を流すのでした。
娘は彼から贈られたものを身につけるごとに、彼に殺された動物たちの悲鳴が
聞こえてくるような気がしたからです。
 そんな娘の姿をみて青年はとても傷つきました。

mabi354_92.jpg

 そうしてある日、町に動物の皮を売りに出かけた青年は、領主の娘が
自分を捜しているという話を耳にしました。何とかして気持ちを落ち着かせ
ようとしましたが、どうしても気になってしかたありませんでした。

 震える心を落ち着かせながら領主の邸宅を訪ねてみると、ますます美しく
なった領主の娘が彼をまっすぐ見つめて口を開きました。
「デブニッシュの森に白鹿が棲んでいるという話はご存知ですか?」
 青年が答えました。
「ただの噂ですよ。まだ一度も見たことはないですからね」
「腕のいい猟師のあなたなら、すぐに探し出せると思いますよ」
「ということは?……」
「白鹿の毛皮が欲しいのです。お礼に何でも差し上げますわ。やって
くださるでしょう?」
「何でもですか?」
「はい。あなたの欲しいものなら何でも」

 どうにか気持ちを整理しようとしたものの、以前から恋い慕っていた領主の
娘が自分をみつめてこんなふうに懇願するものですから青年の心は揺れに
揺れました。
「お時間をくださいませんか。白鹿は聖なる生きものです。出会うことすら
難しいうえ、うかつに殺したりすればケルヌノス神の呪いを受けてしまいます」
「よいお返事を期待しています」
 その日、森のそばにある家に戻った青年はずっと眠れませんでした。


「森の守り神がお前をお見初めになったようだ。お前にお会いになりたいそうだ」
 白鹿の娘の両親は、彼女に結婚を勧めました。しかし娘は何も言えません
でした。もう自分の心の奥底にはあの青年がすみついていたからです。
ためらう彼女の姿を見ながら母親が再び口を開きました。
「お前がこのごろ何をして過ごしているか私はわかっているの。人間の
若者に入れ込んで一日中その若者と一緒にいるそうじゃないの」

 びっくりする娘。父親の慈しみ深くも厳しい声がそのあとに続きました。
「お前が人間の姿に変身できるといってもそれはただ見かけが変わるだけだよ。
私たちと人間は根本から違うのだよ。私たちはケルヌノス神の恩寵を受けて
森の運命をせおうデブニッシュの森の聖獣なのだから」
「それにその若者は森の動物たちをむやみやたらに殺してまわってるそうだね」
「お前が人間の姿になってそんな猟師を好きになるなんてことは道理にそむく
ことだよ。道理にそむいたりしたら、その時は甘く幸せに感じられたとしても、
結局は不幸という形でまた舞い戻ってくるのだよ」

 白鹿の娘は涙を流して泣き始めました。
「二人の気持ちが深ければ深いほど、あとで深く傷つくことになるのだよ。
今すぐ彼のことを忘れるのは無理だとしても、このことを心の中にきちんと
留めておかないといけないよ」

 最後に父親が重々しくこう告げました。
「彼に不幸になって欲しくなければ、彼を忘れなければいけないよ。肝に
銘じておきなさい」





物語は、この後クライマックスの「6.決心」エンディングの「7.白鹿の話」へと
続きます。

白鹿の娘が彼を忘れることが出来るのか。
白鹿の毛皮を頼まれた青年は、白鹿を手にかけるのか。
結末は、あなた自身がエリンで本を手にとってご覧くださいませ。


では、また(^ヮ^)ノ”

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テーマ : マビノギ - ジャンル : オンラインゲーム

12:39  |  マビノギ(図書)  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

★本

時々本を読んでみると、確かにいい話がありますよね。
サンダーのコレクションブックとか、思わず読みふけってしまいましたしw(これは物語ではないですけど…)。

それと、私のブログへのリンクがあったことに今更気がつきました^^;。
こちらからもリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?
くれは |  2009年03月25日(水) 22:34 | URL 【コメント編集】

くれはさん>

魔法のスキルブックとか、まだ実装されてないエリアが
語られてたりして楽しいですよね。
他にもオススメな本があるので、また今度紹介したいと思います。

こっそりリンク追加してたの、バレましたか(ノ∀`)
リンクフリーと書かれてたので、報告もせずに張ってしまって
ごめんなさい。
うちのブログもリンクフリーですので、気軽に張ったり
はがしたりしてくださいませ~♪
葉佩伽耶 |  2009年03月26日(木) 12:19 | URL 【コメント編集】

おーこんなにしっかりした内容が書かれてるとは知りませんでした~
マビの本ってそういえば結構細かく書いてあるなとは思ってたけど、ついつい飛ばしてしまって…w
あとで探して続き見てみることにします~♪
みる茶 |  2009年03月26日(木) 14:49 | URL 【コメント編集】

みる茶さん>

エリンの書物ってしっかり内容が書かれてるもの多いですよね。
私もざっと読んでつまらなそうな本は、すっとばしてますw
今日紹介した「ある冒険家のダンジョン冒険記」も読み応えのある
本なので、機会があったら是非読んでみてくださいな(^ヮ^)b
葉佩伽耶 |  2009年03月27日(金) 11:28 | URL 【コメント編集】

リンクありがとうです。
今まで読んだこと無かったので、これを機に読んでみました。
もう…号泣です(*´;ェ;`*)
そして、カヤさんのSSの素晴らしさに拍手!!
にいち |  2009年03月28日(土) 00:58 | URL 【コメント編集】

にいちさん>

白鹿は泣けますよね(;△;)
「白鹿の話」を含む大抵の本って、読む機会無いですよね。
こんな風にいい話が埋もれてたりするんで、またいい本が
あったらご紹介します♪

SSはあまり凝ったものではないんで、褒められると
恐縮してしまいますが、ありがとうございます(^ヮ^)
葉佩伽耶 |  2009年03月29日(日) 20:57 | URL 【コメント編集】

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